
この夏も厳しい猛暑が続いています。熱中症、水分不足、食欲不振、冷房による冷えやだるさ…。現代の夏は、昔よりもずっと“消耗型”になっているのではないでしょうか。
そんな時におすすめなのが、
「梅干し」です。
梅干しの酸っぱさは、ただの味覚ではなく、体を元気にしてくれる存在です。唾液を促し、胃液を分泌させ、自律神経を刺激して、全身を“内側から目覚めさせる”働きがあります。
そこで今回は、7月30日の「梅干しの日」にちなみ、
夏の体をリセットしてくれる梅干しの魅力を深堀してみたいと思います。ぜひ、日々の食生活に梅干しを活用して、猛暑を元気に乗り切りましょう。
梅干しを食べると災いを遠ざける

「梅干しの日」は、「なん(7)がさ(3)る(0)」という語呂合わせに由来し、昔から“梅干しを食べると災いを遠ざける”と言い伝えられてきたことにちなみ制定されました。また、ちょうどこの時期は「土用干し」と呼ばれる梅干し作りの最終工程が終わり、一年の中でもっとも新鮮な“新物の梅干し”が食卓にのぼる頃でもあります。
日本の伝統的な保存食として長く親しまれてきた梅干し。そんな梅干しが、特に夏に活躍する理由や、注目の健康効果について以下にご紹介します。
なぜ猛暑に「梅干し」が効くの?

近年の夏は、暑いというより“危険”と表現した方がしっくりくるほどです。連日35℃を超える暑さが続いており、熱中症になる方が後を絶ちません。
特に日本の夏は湿度が高く、汗を大量にかくため、想像以上にミネラルが奪われやすい環境です。体温調節がうまくいかなくなると、熱中症のリスクが一気に高まります。
ここで力を発揮してくれるのが、梅干しの“塩分”と“クエン酸”です。
・汗で失われがちな ナトリウム の補給
・疲労のもとである「乳酸 」をクエン酸が分解
・酸味が食欲を刺激し、唾液や胃液の分泌を促す
このトリプル効果で、体の巡りを助け、夏バテや熱中症対策としても優秀な働きをしてくれます。
「脳の疲れ」にも効く梅干しの新しい魅力
「暑さで思考がまとまらない」「集中力が続かない」そんな“夏の脳疲労”に心当たりはありませんか?
最近の研究では、梅干しに含まれるバニリンやムメフラールといった成分に、脳の炎症を抑え、血流を改善する可能性があることが示されています。
特に注目されているのが、クエン酸と脳のエネルギー代謝。脳のエネルギー源である「ブドウ糖」の代謝を助け、思考や判断に必要な“集中力”や“注意力”の維持にもひと役買っているのだとか。
「なんだか頭がぼーっとする…」そんなときこそ、冷たい飲み物ではなく“梅干し”が活躍するかもしれません。
「食べる漢方」で夏冷えにアプローチ
冷房の効いた部屋に長時間いると、体の深部が冷えて代謝が下がります。冷たい飲み物やアイス、冷やし中華…外からも中からも冷やされる夏の生活。そんな中で、「温める食材」が少なくなりがちなのが現代の傾向です。
ここで注目したいのが、梅干しが“陰性食材”である酸味を持ちながらも、血行を促進し、巡りを良くする”陽性の作用”も併せ持つという点です。
東洋医学では、「酸は肝に入り、気を巡らせる」と言われています。つまり、梅干しは“冷えのぼせ”のような状態にもアプローチできる貴重な存在。内臓が冷えて元気が出ない時、疲れが溜まって気が滞っている時、梅干しは優しく働きかけてくれる「食べる漢方」なのです。
朝の梅干し習慣で体をリセット

朝一番の白湯に梅干しをひとつ落とす「梅湯」。これは江戸時代から伝わる、体を目覚めさせる伝統の知恵です。
最近では「朝の一粒梅干し健康法」として再注目されています。胃を刺激して腸の働きを促し、体内時計もリセット。クエン酸やポリフェノールの作用で、代謝アップと免疫力サポートにもつながります。
ちなみに、起床直後の体は脱水気味。このタイミングでの梅干しは、ナトリウムやミネラル補給の観点からも理にかなっています。夏バテを感じやすい方は、まずは朝の一粒から始めてみてはいかがでしょうか。
単なる保存食じゃない梅干しの底力
近年の研究では、梅干しに含まれるポリフェノール「梅リグナン」が、ピロリ菌の動きを抑える働きや、活性酸素の除去に役立つ抗酸化力を持つことも明らかになっています。
また、温めることで生まれる「ムメフラール」や「バリニン」といった成分にも注目です。梅干しを軽く炙る、またはレンジで数十秒加熱する、煮物や炊き込みご飯に加えるなどで、脂肪燃焼をサポートする「バニリン」や、血流改善に働く「ムメフラール」が増加します。少し手を加えるだけで効果的に摂取できますので、夏太りが気になる方、むくみやすい方はぜひ試してみてください。
梅干しの健康効果で猛暑を乗り切ろう
今年の夏も、容赦のない暑さが続いています。だからこそ、あらためて見直したいのが、「昔ながらの食の知恵」ではないでしょうか。
便利さや手軽さばかりを求めてしまう現代の食生活の中で、梅干しのような手間のかかる食材が、実は私たちの体に必要なものを補ってくれるのかもしれません。
1日1粒でもいいですし、調味料としての活用もおすすめです。ぜひこの夏は、梅干しの健康効果を暮らしの中に役立ててみませんか?