急激なダイエットが「痛風」の原因に?夏場に増える痛風対策 | ISDG 医食同源ドットコム [公式通販]
2023.07.12
急激なダイエットが「痛風」の原因に?夏場に増える痛風対策

痛風

「痛風」と聞いてどのようなイメージをお持ちでしょうか。

”風”が吹いても”痛”いことからその名が付いたとされる「痛風」。 足の指の関節がパンパンに赤く腫れあがり、激痛を伴う病気ですが、「お酒をよく飲む中年男性が罹る」「太った人が罹る」、そんなイメージをお持ちの方が多いのではないかと思います。

確かに痛風の9割は男性患者です。また暴飲暴食など、不摂生をしている人や、太り気味の人が罹りやすいともされます。 しかし意外なことに、無理な食事制限や激しい筋トレなど、ダイエットやボディメイクに励む方も、痛風の危険があることはあまり知られていないのではないでしょうか。

そこで今回は、【急激なダイエットが痛風の原因になる理由】や、【痛風予防の為に普段気を付けるべきこと】等、痛風対策についてご紹介します。

本格的な夏に向けて、無理なダイエットで体を追い込んでいる方はこの時期少なくないと思います。
痛風は、特に夏場の熱い季節に危険度が高まるとされることから注意が必要です。 適度な水分補給と無理のないダイエットを心掛け、しっかり予防して行きましょう。


痛風はどうして起こる?


痛風は、体内に尿酸が蓄積することで引き起こされる病気です。 尿酸は血液に溶けにくく、体内の尿酸濃度が高い状態が続くと、尿酸が関節などに溜まって結晶になり、その結晶を異物と認識して白血球が攻撃。炎症となって腫れや痛みを伴う痛風を引き起こします。

また、尿酸の結晶が腎臓や尿路に沈着して、腎臓障害や尿酸結石を起こすこともある為注意が必要です。


痛風の原因になるプリン体とは?


尿酸を増やす原因となるのが、皆さんもご存知の「プリン体」です。
プリン体は、肉や魚、野菜や穀物、海藻、きのこなど、全ての生物に含まれる成分で、うまみの元にもなっている物質です。 細胞の核を構成する物質であり、食事により体内に取り込まれるだけでなく、体の中でも作り出されています。

体内にあるプリン体の割合としては、8割ほどが新陳代謝の際に体内で生成されており、残りの2割が食事から摂取されるものとなります。
体内で重要な働きをしますが、多過ぎるとその代謝物である尿酸を増やします。 尿酸は通常、尿などと一緒に体外に排出され、血中の数値は一定に保たれていますが、調整のバランスが崩れ量が増えすぎると、高尿酸血症、そして痛風を引き起こす原因になります。


プリン体を控える食事


激しい痛みを伴う痛風。予防には生活習慣の改善がとても重要です。
不摂生で肥満気味の人は、生活を正し肥満を解消するだけで尿酸値は下がります。また、尿酸値が気になる方は、プリン体の多い食事に気を付けることもポイントです。

プリン体の1日の摂取量の制限目安として、400mgが推奨されています。
痛風になりやすいかどうかは遺伝的要素も大きい為、これを守れば大丈夫、これを守らなけらば痛風になると言うことではありませんが、普段からプリン体を多く含む食品の摂り過ぎには気を付けましょう。

プリン体が食材100g当たり300mgを超える要注意食材としては、鶏レバー、あん肝、白子、真イワシの干物などが挙げられます。また、他のレバー類やエビ、にぼし、カツオ、イワシ、さんま(*干物は特に占有量が多くなります)、明太子などもプリン体を多く含むので、食べ過ぎないよう注意が必要です。

干物や出汁は干して凝縮されている分、プリン体の占有量も多くなります。 尚且つ、プリン体は水に溶け出す性質があるため、煮干しやかつお出汁のスープには特にプリン体が多く含まれている場合があります。 ラーメン等、出汁の効いたスープは美味しいですが、飲み過ぎないように気を付けた方が良いでしょう。


アルコールは痛風のリスクを高める


アルコール

夏と言えば「キンキンに冷えたビール」を思い浮かべる人も多いはず。しかしながら、ビールにはプリン体が含まれています。その為、痛風にならないように、プリン体を含むビールを控え、プリン体の少ない焼酎やウイスキーを選んでいると言う方も多いかも知れません。

確かに、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒にはプリン体がほぼ含まれていません。 ただ、ビールよりも問題は、アルコールそのものにあることを忘れてはいけません。

アルコール自体に、プリン体の分解物質で痛風の原因となる尿酸の合成を促す働きがあるのです。 同時にアルコールには尿酸の排泄を抑制する働きも。実際に、痛風患者の約8割が毎日3合以上のお酒を飲んでいると言う調査結果もあります。

プリン体を含むビールを控えることももちろん大事ですが、アルコール自体を飲み過ぎないことが痛風対策として重要です。

また、明太子や白子、レバー、魚の干物など、お酒のおつまみにはプリン体の多いものが多くあります。 お酒を飲む際にはおつまみの選び方にも気を遣い、週2回程度の休刊日を設けながら適量の範囲で楽しむことが大切です。


肥満は痛風のリスクになる


肥満と痛風

痛風対策として、肥満にならない生活習慣を維持することも重要です。
肥満になると体内で血糖値をコントロールするインスリンが出やすくなります。 インスリンは尿酸の排出を阻害する働きがあるため、肥満傾向にある場合は注意が必要です。

またインスリンを過剰に分泌させない為に、早食をしないこと。 糖質に偏った食事を避けることや甘い物の食べ過ぎを控えることも大切です。 血糖値の急変動を防ぐ対策として、食事はゆっくりよく噛んで食べること。 野菜から食べ始めることを習慣にするなど、普段から太らない食べ方を意識しましょう。

尿酸値の高い肥満者が減量することで、尿酸値が下がることが分かっています。 太り気味の方は適正体重を維持できるよう、生活習慣を見直し減量を心がけましょう。

ただし、”急激な減量”は痛風発作を起こすリスクを高めるため、ダイエットをする場合はゆっくり時間をかけて取り組むことが大切です。


極端なダイエットが痛風の原因に?


極端なダイエットが痛風のリスクを増やす場合もあります。
極端な糖質制限や断食など、急なダイエットで脂肪の分解が多くなるとケトン体が発生します。 (ケトン体とは:脂肪合成や脂肪分解の過程で発生する中間代謝産物のこと) 血液中のケトン体濃度が高くなると尿酸は排泄されにくくなる為、尿酸値が上昇することに。また、急激な減量で細胞が壊れプリン体が放出されることからも尿酸値が上昇します。

さらに、運動に必要なエネルギーを生み出すときに、プリン体が増えることから、負荷の強い筋トレや短距離走などの無酸素運動も、尿酸値を上げる原因になります。

また、ダイエット目的で低脂質、高たんぱくな、鳥のササミ、ムネ肉なんかを毎日食べている人も多いのではないでしょうか。
しかし、プリン体の占有量を見ると、豚ロース90mg、牛もも肉110mgに対し、鶏胸肉140mg、鶏ササミは154mgと、ヘルシーなイメージのあるムネ肉やササミ肉が高くなっています。 激しい筋トレをしながら、これらを大量に摂取していた場合、知らず知らずのうちに痛風のリスクを高めているかも知れません。

この様に極端なダイエットは痛風のリスクになる場合があります。
高尿酸血症の方に適しているのは、ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動です。
ダイエットをする際には適度な運動と無理のない食事制限で、ゆっくり時間をかけて行うのが安全です。


夏場の脱水が痛風のリスクを高める


夏は汗を沢山かくため、脱水が起こりやすくなります。 脱水が起こると血液の濃度が濃くなり、尿酸値も上がりやすくなります。
尿酸の排出を促す為にも適度な水分摂取は重要です。 喉が渇く前のこまめな水分補給を心掛けて、排泄力を高めましょう。


痛風対策で辛い痛みを遠ざけよう


痛風は、以前は50歳以上に多かったのですが、今では患者数の増加と共に若年化も進行しています。 また極端なダイエットをしている女性も決して例外ではありません。

痛風は夏に急増すると言うことで、この時期特に注意が必要です。
「風に吹かれただけでも痛い」このような辛い症状を引き起こさないためにも、尿酸の元となるプリン体を食事からある程度制限していくことや、体の中で増やさない習慣を日々の生活で心掛けて行きましょう。