
長雨の影響で、日照不足による野菜の高騰が話題になっています。
実際、気象庁によると、東京都心では9月1日から10日(2026年)までの日照時間がわずか7.4時間。1961年の統計開始以降、9月上旬として最も少なくなりました。さらに、12日まで3日連続で日照時間が0時間となるなど、今年の9月上旬は記録的な日照不足となっています。
たしかに、今年の9月は「太陽、どこ行った?」と思うくらい、雨や曇りの日が続いていますよね。
野菜にとって太陽の光は、成長するための大切なエネルギー源。日照不足や長雨が続けば、生育や収穫などに影響し、私たちの食卓にもその影響が及ぶことがあります。スーパーで野菜を手に取り、「えっ、こんなに高かったっけ?」と、ちょっと驚いた人もいるのではないでしょうか。
また、太陽の光の影響を受けているのは野菜だけではありません。実は私たち人間の体も、毎日の「光」と密接に関わっています。
「最近、なんとなくやる気が出ない」「朝から眠い」「生活リズムがちょっと乱れている気がする」そんな小さな変化を感じている人がいたら、それは単なる気のせいではなく、季節や光環境の変化が関係している可能性もあります。
そこで今回は、
【野菜の生育や価格にも影響する「日照不足」が、私たちの心と体にどんな関係があるのか】について見ていきましょう。
ぜひ、雨や曇りの日が続く今の体調管理に役立ててみてください。
太陽の光は「体のリズム」を整える

私たちの体には、約24時間周期で動く「体内時計」があります。朝に目覚め、日中は活動し、夜になると眠くなる。当たり前のように繰り返しているこのリズムは、実は「光」の影響を大きく受けています。特に朝に明るい光を浴びることは、体内時計を調整するための重要なきっかけになります。
ところが、秋の長雨などで朝からどんよりとした空が続くと、晴れた日に比べて明るい光を浴びる機会が減ってしまいます。すると、生活リズムが少しずつ後ろにずれたり、朝からスッキリ起きにくくなったりすることがあります。
「最近、朝がつらいな」「なんとなく一日中眠いな」そんなとき、単純に「疲れているから」と思ってしまいがちですが、季節による光環境の変化も、体のリズムに影響する要素のひとつなのです。
日照時間の変化は「心」にも影響する?
日照時間の変化は、睡眠や生活リズムだけでなく、心の状態とも無関係ではありません。
厚生労働省の「こころの耳」でも、特定の季節に繰り返して起こる「季節性感情障害(季節性うつ病)」について、日照時間の短縮が関係すると説明されています。特に秋から冬にかけて、気分の落ち込みや活動性の低下などが見られるケースがあります。
もちろん、雨の日が数日続いたからといって、誰もが心の病気になるわけではありません。ここで大切なのは、「憂鬱なのは、自分の気合いが足りないから」と決めつけないこと。
天気や季節による環境の変化も、私たちの睡眠や生活リズム、気分に影響することがあります。「なんとなく調子が出ない」という小さな変化に気づくことは、自分の心と体をいたわるきっかけにもなるのです。
日照不足と「ビタミンD」
もうひとつ、日光と関係が深い栄養素があります。それが「ビタミンD」です。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨の健康を保つうえで重要な栄養素です。食事から摂取できるほか、皮膚に紫外線が当たることで体内でも作られます。そのため、外出する機会が少なかったり、日光を浴びる機会が極端に少なかったりすると、ビタミンDの供給にも影響する可能性があります。
ただし、ここで注意したいのが、「日光を浴びれば浴びるほど健康になる」というわけではないこと。
紫外線の浴びすぎは、肌への負担になります。美容のために紫外線対策をしながら、ビタミンDは食事から補うという考え方も大切です。例えば、ビタミンDを含む食品には、魚類、卵黄、きのこ類などがあります。
こうした食品を上手に取り入れながら、日光とはうまく付き合って行くのが得策です。
雨の日でもできる「日照不足対策」

では、秋の長雨が続いたらどうすればいいのでしょう?
まずおすすめしたいのが、朝起きたらカーテンを開けること。雨の日でも、屋外は室内より明るいものです。窓の近くで過ごすなど、朝の光を取り入れることは、体内時計に「朝が来た」という合図を送るきっかけになります。
そして、雨が上がったタイミングがあれば、短時間でも外へ出てみましょう。買い物に出る、近所を歩く、少し遠回りして帰る。そんな小さな行動でも構いません。
「運動しなくちゃ」と意気込む必要もありません。外の明るさを感じながら歩くことは、体を動かすことと光を浴びることを同時にできる、効率のよい習慣です。
また、朝食をとる、起床・就寝時間を大きく乱さないなど、生活リズムを整えることも大切です。
雨の日なりの明るさと活動を取り入れる
雨の日が続くと、つい家の中で一日を過ごしたくなります。
もちろん、疲れている日はゆっくり休んでOKです。でも、「雨だから今日は何もしない」と何日も閉じこもってしまうと、活動量まで減ってしまいます。そんなときは、晴れるまで待つのではなく、雨の日なりの明るさと活動を取り入れるように心がけましょう。
朝はカーテンを開ける。昼間は窓の近くで過ごす。雨が弱くなったら少し外へ出る。家の中でも軽く体を動かす。夜はスマートフォンなどの強い光を長時間浴び続けない。こうした心掛けが、季節の変化に合わせて生活リズムを整える助けになります。
野菜も人間も太陽の光が大切

野菜と同じように、私たちの体も、毎日、天気や季節の影響を受けながら暮らしています。
だからこそ、秋の長雨で「なんとなく調子が出ない」と感じたときは、自分を責めるのではなく、「光が足りていないのかも?」と考えてみるのも一つです。
そして、できる範囲で朝の光を取り入れ、少し体を動かし、食事と睡眠のリズムを整える。それだけでも、秋の体調管理の小さな助けになります。
もちろん、気分の落ち込みが長く続く、何をしても楽しめない、眠れない・眠りすぎるなど、日常生活に支障が出るほどの変化がある場合は、「天気のせいかな」と自己判断せず、医療機関に相談することも大切です。
野菜にとって太陽が大切なように、私たちの体にとっても「光」は大切な存在です。
秋の長雨を、ただの憂うつな季節として過ごすのではなく、「自分の体内時計や生活習慣を見直すタイミング」と捉えてみる。ぜひ、こうした意識で、これからやってくる秋を心地よく迎えましょう。